Q.東大寺・興福寺・春日大社って何が違う?
2026-06-19 公開
答え
3つとも世界遺産「古都奈良の文化財」(1998年12月登録)の構成資産ですが、性格はまったく違います。東大寺は華厳宗の大本山で、奈良の大仏(盧舎那仏、像高約14.7メートル、752年開眼)を本尊とする寺。興福寺は法相宗の大本山で藤原氏の氏寺、国宝27件を擁します。春日大社は768年創建の神社で、藤原氏の氏神を祀り、全国約3,000社の春日神社の総本社です。
寺か神社か、宗派はどこか
まず大きな違いは「お寺2つと神社1つ」という点です。東大寺は仏教・華厳宗の大本山、興福寺は仏教・法相宗の大本山で南都七大寺の一つ。一方、春日大社は神社で、武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神の四柱を祀ります。仏と神という出自の違いが、建物の様式や見どころの違いに直結しています。
| 東大寺 | 興福寺 | 春日大社 | |
|---|---|---|---|
| 種別 | 寺院 | 寺院 | 神社 |
| 宗派・性格 | 華厳宗 大本山 | 法相宗 大本山 | 藤原氏の氏神を祀る |
| 祀る対象 | 盧舎那仏(大仏) | 釈迦如来ほか諸仏 | 武甕槌命ほか四柱 |
創建年でたどる、それぞれの歴史
創建の経緯もばらばらです。東大寺は前身の金鐘寺を728年に聖武天皇が建立し、743年の大仏造立の詔を経て745年に造営開始。興福寺は前身の山階寺が669年に造営され、710年の平城遷都で藤原不比等が現在地へ移して「興福寺」と改称しました。春日大社は768年、称徳天皇の勅命で左大臣・藤原永手が創建。最も古い源流は興福寺(669年)、神社として最も新しいのが春日大社(768年)です。
669年興福寺の前身・山階寺の造営
745年東大寺の造営開始(大仏)
768年春日大社の創建
710年興福寺が現在地へ移転・改称
見どころの主役 ── 大仏・五重塔・四殿
見どころも三者三様です。東大寺は像高約14.7メートルの大仏と、それを納める大仏殿(高さ約49.1メートル・間口約57.5メートル)で、世界最大級の木造建築とされます。興福寺は高さ約50.1メートル(奈良県公式で50.937メートル)の五重塔が象徴で、木造塔として東寺に次ぐ日本第2位。創建は730年、現存塔は1426年頃の再建です。春日大社は第一殿〜第四殿の御本殿が4棟並ぶ社殿が見どころ。スケールの大仏か、塔の高さか、社殿の連なりか、で性格が分かれます。
- 東大寺 大仏殿の高さ49.1m
- 興福寺 五重塔の高さ50.1m
- 東大寺 大仏の像高14.7m
「古都奈良の文化財」での位置づけ
3つはいずれも世界遺産「古都奈良の文化財」(1998年12月登録)の構成資産です。同遺産は東大寺・興福寺・春日大社・春日山原始林・元興寺・薬師寺・唐招提寺・平城宮跡の8資産から成ります。とくに興福寺と春日大社は、ともに藤原氏ゆかりで歴史的に神仏習合の一体的な関係にあり、春日大社の神域に隣接する春日山原始林も同じく構成資産です。下記のデータや関連記事で、8資産の全体像と国宝の分布をたどれます。
1998年12月「古都奈良の文化財」の世界遺産登録
8資産「古都奈良の文化財」の構成資産
27件興福寺の国宝件数
約3,000社春日大社が総本社を務める春日神社