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Q.飛鳥・藤原の世界遺産登録で、観光客は何人増える?

2026-10-16 公開

答え

野村総合研究所の木内登英氏は年間約66万人増、経済効果は直接約44.3億円・波及込み約70.9億円と予想しています。関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算は登録年度の生産創出約49.9億円で、いずれも実績ではなく、前提が異なる予想です。

約66万人増は、どんな前提?

野村総合研究所(NRI)の木内登英氏の2026年7月27日コラムは、3市村の登録前観光客を年間約450万人と推計。そのうち登録の影響を受ける約110万人が60%増えると想定し、約66万人増を予想しています。全450万人に60%を掛けた数字ではありません。 一方、関西大学の宮本勝浩名誉教授による6月24日の登録前推計は、登録年度の生産創出を約49億9,311万円、雇用創出を686人と予想。観光客の増加数などの前提は非公開です。両試算は前提・効果の定義が異なり、単純比較できません。

項目NRI・木内登英氏関西大学・宮本勝浩氏
発表日2026年7月27日2026年6月24日(登録前)
対象明日香・橿原・桜井の3市村、年間登録年度の経済効果
増加想定約110万人の60%増=約66万人増非公開
経済効果直接約44.3億円/波及込み約70.9億円生産創出約49億9,311万円
雇用創出記載なし686人

なぜ石見・富岡ほどは増えないと見る?

NRIの2026年7月27日コラムは、飛鳥・藤原は教科書で既に知られ、遺跡が目に見えにくいことから、石見銀山や富岡製糸場ほどの増加は見込みにくいとしています。 島根県の平成19年観光動態調査では、石見銀山は2006年40万人から登録年の2007年71万3,700人へ約78%増。NRIの「約75%増」に近いのはこの登録年の比較で、翌2008年のピーク(81万人)と比べた値ではありません。富岡市観光協会の年度別見学者数(2026年4月2日現在)では、2013年度314,516人から登録年度の2014年度1,337,720人へ約4.25倍。倍率は公表値からの計算です。その後の推移は関連記事「世界遺産になった町は、その後どうなった?」で紹介しています。

受け皿となる宿泊施設はどれくらい?

奈良県宿泊統計調査の令和7年報告書(2026年7月)によると、Bエリアは2025年第4四半期時点で66施設・1,029室。延べ宿泊者数は2024年309,192人、2025年359,127人です。Bエリアには橿原・桜井・明日香だけでなく、大和高田・御所も含まれます。 国交省資料8の明日香村調べでは、2022年度の村内宿泊施設は47軒・70室、宿泊人数は5,785人。民泊は1軒を1室として数えています。NRIは宿泊する観光客のうち村内泊を約1割と見込み、国交省資料に載る2022〜2023年の明日香村観光動向調査も同程度を示します。観光客全体の1割という意味ではありません。

登録後の実績は、これから確かめる

2026年10月時点では、登録後の来訪者増を確かめる公式統計は未公表です。ここで紹介した約66万人増や経済効果は予想であり、実際に増えた人数や売上ではありません。今後の公式統計を見る際も、観光入込客数と施設見学者数、暦年と年度、3市村と宿泊統計のBエリアを区別して読む必要があります。

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